ジビエ料理を食べて、人間と動物について考えた

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動物と人間

ジビエ料理は、単なる食文化ではありません。野生の動物を狩り、その肉を食料として使用するという中に深いテーマが隠れています。

人間と動物の関係、ジビエ料理の歴史、そしてジビエ料理を食べる上で知っておくべき知識について紹介していきたいと思います。

「鳥獣被害」という言葉についての考察

人間と動物の生息領域の曖昧さが一つの原因

鳥獣被害とはなぜ起こるのか、その原因として考えられるのが、人間と動物の生息領域が曖昧になってきていることです。自然界で暮らしている鳥獣が人間の生活領域に入ってくることによって、人間にとって様々な問題を起こすことになります。

人間と動物の生息領域が曖昧になったのは、鳥獣の個体が増えすぎて餌を求めて人間の生活領域へ侵入したり、逆に人間が自然を開拓することで動物の生息領域に侵入したことなどが理由です。

つまり、鳥獣被害という言葉が生まれる一つの要素として、人間と動物の棲み分けがしっかりと行われていないことが挙げられます。

人間のエゴでもあるという側面

鳥獣被害という言葉は、人間から見て動物から被害を受けることを指します。これは、ある意味で人間のエゴであるという側面も持っているのではないでしょうか。

人間の生活領域で問題を起こす動物たちも、悪意があってそれを行っているわけではありません。しかし、人間からしてみると敵とみなした者に対して攻撃をしたり、自然に生えている作物を食べたりする動物の当たり前の習性が害悪だと捉えられます。

動物の側から見ると、鳥獣被害はあくまでも人間の価値観によって作られた概念です。そのため、動物としては鳥獣被害対策の名の下に狩りをされることが、人間からの被害と言えるかもしれません。

日本のジビエの歴史をざっくりと振り返る

太古よりジビエは存在していた

ジビエは、最近になってよく耳にするようになった言葉です。しかし、野生の動物を狩って食べるという意味でのジビエは、太古より存在していました。

日本人は農耕民族ではありますが、太古の時代より狩猟を行って食料を得ることもしていました。ですので、有史以前よりジビエは存在していたことになります。

大昔の狩猟は、今のジビエとは少し意味合いは違います。ですが、広義としてのジビエに含むことができますので、日本におけるジビエの歴史は以外にもかなり長いのです。

近代でジビエが盛んになったのは明治以降

日本人としての文化が発達してきた時代は、原始人の時代とは違って肉食をあまりしない傾向にありました。

そのため、ジビエも一時期は衰退していたことがあります。ただ、完全にジビエが無かったわけではありません。江戸時代でも、ジビエを扱う店があったことは史実として残っています。

そして近代になってジビエが盛んになってきだしたのが、明治時代から後になります。これは文明開化によって肉食の西洋文化が流れ込んできたことで、ジビエという野生動物の肉を食べることも見直されるきっかけになったからです。

日本において、ジビエは以上のような歴史を経たのち、現在のジビエのスタイルになりました。

ジビエを食べる上で知っておきたい知識

風味と栄養価が人気の背景にある

一昔前であれば、ジビエのような野生で育った獣の肉は癖が強いとか硬いなど理由から、あまり好んで食べられていませんでした。しかし、近年はかなり人気が出てきています。

その人気の背景にあるのが、ジビエの風味と栄養価です。ジビエの嫌われる要素であった癖のある味は、調理技術の改善などにより風味が良いという高評価を得ています。また、畜産で育った動物に比べて脂身が少なく他の栄養素も多いので、ヘルシーな食材としても見直されています。

味と栄養という二つのメリットが、現在のジビエ人気の大きな要素になっているのです。

ジビエは地域資源として見直されている

ジビエは単なる食材ではありません。自然の恵であるとともに、地域資源の一つでもあると捉えられ、見直されています。

今まではジビエとして捕獲される鳥獣は、人間に害しか与えない存在でした。しかし、それらを狩猟し、そしてジビエとして流通することで地域が潤うことになります。つまり、ジビエは地域が活性化する要素を持っているのです。

それぞれの地域では、地域資源として利用する上で、ジビエの六次産業化など様々な課題の整備も進められています。

まとめ

ジビエの裏側には、人間と動物の関係についての哲学、そして狩猟文化の歴史や社会問題など様々な出来事が隠れていることがわかりました。

ジビエ料理を食べる際には、少しだけでもこれらのことについて考えてみると良いでしょう。そうすれば、ジビエをより一層楽しめることにもなりますし、ジビエをきっかけに社会についての視点を持つことも可能です。

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